ラノベ寄稿

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【感想】クズと金貨のクオリディア

 クズと金貨のクオリディア (ダッシュエックス文庫)

 

 

ラノベ貴公クオリディア・コードwww

 

プロジェクト・クオリディア始動!
これはふたつの視点から紡がれる、終わりゆく世界とめくるめく青春の物語――。
底辺高校生・久佐丘晴磨と、天使のような後輩・千種夜羽。同じ階層にいられるはずのなかった二人は、とある事件をきっかけに出会ってしまう。
異常気象、異常現象、異常行動。そして少しずつ歯車が狂いだしていく二人の日常と奇妙な都市伝説。
曰く「ランダム十字路」――真夜中、突き当たった丁字路で誤った道を選ぶと、二度と帰ってこられない。
成り行きで行方不明の女子を追うなか、晴磨と夜羽の思惑は大きくすれ違い……! ?
二人の大人気作家がダッシュエックス文庫に初登場! ! さらに同人界に旋風を巻き起こした仙人掌氏がライトノベル界に衝撃参戦! !
新世代プロジェクトの始動を見逃すな!

 

 新世代プロジェクト()も今は昔、もう二年が経つわけですね。

 

ラノベ貴公そんな世界は壊してしまえ!( ^∀^)

ラノベ貴公いつか世界を救うために!( ^∀^)

ラノベ貴公どうでもいい 世界なんて!( ^∀^)

ラノベ貴公せーのっ、クオリディア・コード!( ^∀^)

理性「やめなされ」

 

という感じの企画でした。なんでも当時は、

 

ラノベ貴公渡航さがら総橘公司の企画ってすげえなおい」

 

くらいには思っていた印象。錚々たると言わんまでも名の知れた作家ですからね。やー、これは勝ったでしょガハハと笑っていましたよ。

 

ラノベ貴公その結果見事にガハってしまったわけですが

理性「A-1が戦犯でFA」

 

異能力を持つ少年少女たちが人類の敵"アンノウン"と関東をかけて戦う様子を描いたアニメ、「クオリディア・コード」。そのスピンオフ、千葉・東京・神奈川編を描いたのが各ライトノベル。世界狭すぎでは?

 

さて、本作はアニメの前日譚の前日譚。クズと金貨のクオリディアなわけですが、

 

読メを読むラノベ貴公「すっげぇボロクソ叩かれとる……」

理性クオリディア・コードだからしゃーなし」

ラノベ貴公「理性さんさっきと言ってること違うわけだが」

 

あくまで個人としてはですが、

 

滅茶苦茶好きな作品なんですよね!

 

それゆえメンタルにダメージが入るわけですが、アンチの数はファンの数に比例するの法則でたぶんそれなりに人気な作品だと思いたい。

 

どちらにしてもここまでボロクソに叩かれるなら一読する価値あるんじゃないでしょうか?(他人事)

まあそんな感じでどんな風に本作がクズってるのか(褒め言葉)感想です。

 

本作は渡航さがら総の二人作家が書くクオリディア・コードの前のお話。まずは渡航の書く主人公サイドから描写が始まる。

 

 

 読書をするたび常々思うことがある。

ラノベはイラストが十割』

 どんなゴミ作家の駄文テキストもクソみたいな記号テンプレ萌え会話も俺強え設定資料集も寄せ集めキャラクター見本市も中学生でも読める否小学生でも書ける安易な文章もイラスト一つで愛読書に早変わり。読むのが苦痛なものだってイラストのおかげで読めるようになる。

 娯楽快楽享楽の判断基準は見た目に依存する。それすなわち幸福の根幹は見た目にあるということだ。

 人は見た目が九割なんて言うがあれ嘘だろ。十割だ、十割。フルパワー一〇〇%中の一〇〇%。

 そう考えるのはきっと俺だけではない。他の多くの人間もそうであるはずだ。

 

──クズと金貨のクオリディア第一章より

 

安心の渡航節www

一節目からグッと引き込まれる。イマドキの「普段はやる気ないけどいざとなったら本気だす」系の富士見ファンタジアお得意な主人公というには些か振り切れ過ぎてるでしょう。

 

分かる人に言うなら「はまち」の八幡をさらにクズくして救いようを無くした感じ。

 

それただのクズでは? クズなんだよなぁ……。

 

さて、続いてさがら総の書くヒロインパート。

 

 わたしたちの時間は有限にできています。

 人はだれしも永遠には生きられません。

 どれほど優秀な人間であっても、たとえ容姿端麗才識兼備、文武両道で天下御免、完全無欠で全知全能の神にしても等しい究極生命体であったとしても、人生の残り時間はあらかじめ定められているのです。

 わたしたちの先行きにトッピングしてあるのは、あえかな絶望です。

 意識の苛烈な断絶。無窮に広がる悪夢。虚無へと至る陥穽。

 今日生きることは、また一歩死に近づいたということです。明日も生きている保証はどこにもありません。

 すれ違いごときに時間を費やしている物語を見るたび、わたしは叫びたくなってしまいます。

 人生にそんな暇があるものですか。接点がない? だからどうした。想いを捏造してでも、出会いを粉飾してでも、早く早く、一刻も早く、自分のことをやるべきだ。すれ違った相手のことなど気にせず、ただ自分のストーリーだけを。

 無為に死ぬより恐ろしいことが、この世にあるのでしょうか。

 

──クズと金貨のクオリディア第二章より

 

一見まともなこと言ってるようで全然まともじゃない……。

 

読了して思えば、ヒロインこと千種夜羽の根幹とも言える描写。他人の一切合切をスルーして我を通す。自分勝手で自己中心、自意識過剰自画自賛。まあ最近の女子高生はだいたいこんな感じですもんね……。やべえな日本そりゃこの世界滅ぶよ。

 

クズ主人公とクズヒロインの関係は都市伝説「ランダム十字路」をきっかけに交差していく。

 

日常は歪に曲がり壊れ、されど現実は残る。暴君に民主主義が振りかざされたとき、彼はただ"美しさ"という指標に従い──

 

世界の終わりが可視化されようと、隣に立つ少女の美しさはいささかも否定されない。

 

救いようのないクズたちの群像劇。ポエミーな感じで締めさせていただきます。

 

クズと金貨のクオリディア (ダッシュエックス文庫)

クズと金貨のクオリディア (ダッシュエックス文庫)