ラノベ寄稿

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【感想】ようこそ実力至上主義の教室へ 1「若干ゃ草」

ようこそ実力至上主義の教室へ (MF文庫J)

 

ラノベ貴公過去問ゲー……ですかねぇ……

 

希望する進学、就職先にほぼ100%応えるという全国屈指の名門校・高度育成高等学校。最新設備の使用はもちろん、毎月10万円の金銭に値するポイントが支給され、髪型や私物の持ち込みも自由。まさに楽園のような学校。だがその正体は優秀な者だけが好待遇を受けられる実力至上主義の学校だった。ある理由から入試で手を抜いた結果、主人公・綾小路清隆は、不良品が集まる場所と揶揄される最底辺のDクラスに配属されてしまう。同じクラスで成績は優秀だが性格に超難ありの美少女・堀北鈴音、気遣いと優しさでできた天使のような少女・櫛田桔梗らと出会うことで清隆の状況も変化していって……。大人気クリエイターコンビが贈る、新たな学園黙示録!?

 

 

 子供のころ、将来は3LDKの一軒家に住んで週五日働いてペットでも飼いながら面白おかしく一人暮らししてゆくゆくは結婚なんてできればいいなぁ、などと考えたことはないだろうか。私はある。実際学生の一人暮らしなど面倒でしかないのだが、さておき。

 

本作は「月十万もらえて自立した生活を送れる」と学生時代に一度は憧れるドリームライフを高校生活にぶち込んだような設定だ。読み進めるたび柵に捕らわれない自由さに自然とワクワクしてくる。一方、冒頭から再三問いかけてくる「この社会は平等か?」というテーマにキャラクターを翻弄する意思が伺える。

 

誰にでも自由という権利を与えることは平等を意味しない。いや、むしろそれは平等と真逆ですらある。

 

まるで社会主義と資本主義のそれである。

 

その意味をDクラスが理解したとき、"実力至上主義の教室"は明確に可視化され、最底辺を突きつけられる。──そして彼は、彼女は、行動を起こす。

 

さて、

 

相も変わらずの衣笠ワールド。

 

まあ私は「レミニセンス」しかプレイしたことはないのですが、今回も設定が面白いな! 設定は面白いと思います!(アイロニー

 

対してキャラクターはなんかどっかで見たことあるようなチープな印象。はまちかな? はまちなんだよな……。あ、イラストは最高だと思いました、まる。

 

うーむ……というか、中盤で明かされるはずの「ポイントの支給額が成績に比例する」ってどんでん返し、あらすじでバレしてるのどうにかならん?

 

脇役が「どうせ使っても来月には十万支給されるんだからよぉ!」とか言ってると滑稽以外のなにものでもないんじゃんが……。

 

トーリーもなんとも盛り上がりに欠けるところで、「過去問を持ってくるとはさすがお兄様!(じゃない)」とか若干ゃ草……誰にでもできることじゃないヨ! しかしもうちょっと主人公のカッコよさをアッピルしてほしかったかな。

 

最初こそ主人公の語り口調が臭いと感じるところもありますが、読んでるうちに惹かれていくのはさすが衣笠。焦らし方が憎いですねぇ。なんやかんやで魅力的な主人公だと思います。

 

前述したように今回は設定紹介の面が強かったかな。強すぎた気もする。評判では三巻から盛り上がってくるそうなので一気に読み進めていきたいところです。