ラノベ寄稿

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【感想】100年後に魔術書として転生したけど現代魔術師は弱すぎる(1~22話)「テンプレかと思ったら滅茶苦茶面白かった件」

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ラノベ貴公「久しぶりのなろう記事」

 

最強の魔術師として恐れられたバラムは、弟子の裏切りによって魔法を無効化する護符を盗まれ、大賢者と英雄達のパーティーによってついに倒されてしまう。
 それから100年後。その死体を魔術書の装丁として利用されていたバラムは、ネクロノミコンという名の魔術書として復活してしまった。かつての弟子に復讐するか、再び世界を支配するか、やり終えられなかったダンジョンの研究に戻るか……だが現代の世界を見たネクロノミコンはその考えを捨ててしまう。
 現代の世界は、彼の生きていた時代に比べ、もう多くの魔法を失ってしまっていた。

 

*ネタバレ有

 

タイトルだけ見ると頭痛くなってきますねぇ! 魔王やら賢者やらが転生する感じの話が最近のなろうブームなんでしょうか。

 

久しぶりになろうの頭悪い感じな小説読みたいなァと思いつつ見つけた本作。これがかなり面白くてレビューにまとめてみた次第です。

 

内容としてはタイトルとあらすじ通りらしい。

らしい。

いや、あらすじの内容が本編でまだ回収できてないっていうね!

弟子っていうとコーレシュか? マジかよコーレシュ裏切ったのかよコーレシュ最低だな。まあ本編読んでる感じそんな気はしてるけど。

 

面白いのは設定についてよく練られている点。「ネクロノミコン」といえば魔導書の象徴みたいなもので、本作でも記号的意味で使われてるのかなぁと思っていたのだが、どうやら実物準拠らしい。で、その解釈や設定との紐づけが本作は非常に巧みだ。ディープになりすぎず単調過ぎず、確かな読み応えとして表現できている。

また知る人なら「ネクロノミコン」と聞けば「クトゥルフ神話」を連想させる。本作でもCoC独特の名状し難い狂気を孕んだ作品となっていた。著者は初の小説随筆と述べているが、おそらくTRPGセッション、それもゲームマスター経験者であることは間違いないだろう。(間違いだったら普通にすごいマジで)

 

なろうのアマ作家で時々こういうセンスの塊みたいな人がコロッと出てきますよね。なろう内でそれが正当に評価されるかはさておき。

 

トーリーにも特別派手な見せ場はないが、伸び伸びとよく書けている。バラムとミュールの掛け合いなど父と子のように微笑ましく読んでいて心地良い。べた褒めかもしれないが、この安定感のようなものこそ22話にしてレビューの筆を執った一番の理由かもしれない。

 

さて、本作の魅力がグッと深まるのは15話で、先述した「ネクロノミコン」と世界観との紐づけが開示されてからだ。マナの枯渇、マナが醒めたことで、本作のタイトルの裏付けをした。その証明のための「ネクロノミコン」か、なるほどこれはと頷かさせられる。(このページを見る感じネクロノミコンの翻訳は合ってそう)

 

ちょいと最後に考察。

 

・なぜダンジョンコアを解放しないのか→生活をダンジョン資源に依存してるから

バラムは圧政を強いたという記述もあるので、ダンジョンコアを解放していた時代は資源不足だったのでは。圧政をしなくなった代償にマナを払っている。この関係は二酸化炭素問題と通じるところがありますね。まあ合ってる保証はありませんが……

 

・深淵→シナリオクリアのファクター?

二酸化炭素問題が解決しない今日この頃のように、マナ枯渇の問題も落としどころはないので、ハッピーエンドを迎えるならキーは深淵になるんじゃないかなぁ。まあ勘です。

 

ラノベ貴公「総括、幼女かわいい」

   理性「今までおまえは何をレビューしたのか……」

 

ミュールちゃんも可愛かった。では待て次回。

 

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