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【感想】回復術士のやり直し ~即死魔法とスキルコピーの超越ヒール~ 第一章「うんなんというか王道復讐もの……」

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ラノベ貴公「王道復讐ものってなんだよ」

 

――世界そのものを回復《ヒール》してやり直す。
回復術士は一人では戦えない。そんな常識にしばられ他人に利用され続けたケアル。
彼はある日、回復《ヒール》の先にあるものに気付き、回復術士は最強に至る職業だったと確信する。
しかし、その可能性に気付いたころには、すべてを奪われていた。
彼は世界そのものを回復《ヒール》して四年前に戻り、やり直すことを決める。
これは、一人の回復術士が前世の知識と回復《ヒール》で最強になり、すべてを掴む英雄譚。

 

文庫が発売したので気になってweb版で読んでみた。しおこんぶ氏のイラストと内容が相まってノクターンちっくな表紙だけれど、一般ライトノベルらしい。

 

回復術士のやり直し ~即死魔法とスキルコピーの超越ヒール~ (角川スニーカー文庫)
 

 

ノクターンの方にも面白い小説はたくさんありますが、書籍化しても売り上げが出ないのが残念ですね。電子書籍の方で売れてるんでしょうか? 

 

 

さて感想です。

正直なところ単調でつまらなかったorz 復讐ものとして主人公が復讐心を抱くルーツはしっかり書けていると思うのですが、文章量が足りてないのかなんなのか、とにかくサックリ復讐してしまうんですよねー。テンポの良さは魅力とも言えるかもしれませんが……。

 

復讐ものによくある「復讐を遂げてしまうと内容が薄くなる」という典型で、一章でも後半はそこまで読み応えがないな、という印象でした。それでいてなお「俺は復讐するために強くなる」とかなんとか言ってるのでこいつほんっと。復讐ものでヘイトを稼ぐってそういう意味じゃねえんだよ(皮肉)

 

「これから剣や砲の勇者に復讐してやるぜ」とか言っていますが、一言も話してないキャラへ復讐心を燃やされても何も共感できない……と微妙な心境。

 

見所の王女への復讐も、確かに盛り上がるんですけど、それだけなんですよね。描写が足りてないせいかスカッとする感もないし、うーんあんまり……うーん……。

 

えぇっと、たぶん書籍ではその辺がしっかり肉付けされてるんだと思います。挿絵も込みで性描写も「〇〇〇」よりはマシになってるでしょうたぶん。(露骨なage)

 

駄目だしを付け加えるなら、第二ヒロイン? が奴隷なのもよくなかった。復讐ものでヒロインが奴隷っていうのは、まあ人間不信になった主人公が取る選択肢では王道なんですけど、それが定型化しているからこそしっかりとした根拠や描写を踏まえないといけないのに、それが浅い。ハーレムものあるあるの「とりえあず、なんとなく」なヒロインなんですよね。キャラが立ってないというか。

 

気になるところとしては「剣聖」の再登場でしょうか。唯一主人公の素を認めてくれた人ですからねー。認めたっていうのとは違う気もしますけど。

 

話は逸れますが、復讐ものというか、主人公不遇もので面白い作品というと「盾の勇者」や「リゼロ」などが思い浮かびますが、その何が魅力的なのかというと、主人公への理不尽がしっかり描写されていること、それに抗う主人公をきちんと理解してくれるキャラがいること、この二点にあると思います。ラフタリアとかレムとかね。

剣聖ならあるいはそのポジションになれるんじゃないかなーと思うのですが、どうでしょう。描写少なかったからなぁ。

本作はやっぱり主人公への理不尽が足りてないな(?)

 

ヘイト溜まってばかりというのもそれはそれで読んでて辛いんですけどねー、難しいところです。

 

   理性「久しぶりにボロクソ言ったな?」

 ラノベ貴公「まあなろうだし」

 

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