ラノベ寄稿

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【感想】少女妄想中。

少女妄想中。 (メディアワークス文庫)

 

ラノベ貴公尊い

 

「こういうのが初恋なんだなって、思いましたっ」 いつも背中を追いかけていた、あの人への『憧れ』。夢の中で一緒に過ごした、海辺でのあの子との『友情』。傷つけてしまったあの人への、伝えられない内緒の『想い』。私の好きな人は、私以外の人も好きなのだろうか。たくさんの人と物の中で、その女の子を好きになっただけ。もどかしい想いを描く、少女たちの可憐な物語。

 

 入間人間といえば言わずと知れた有名作家なわけですが、実は読んだことなかったんですよ。なぜかといえば、有名作がシリーズものだったり時間がなかったり、でしょうか……

 

ラノベ貴公「人はそれを言い訳といいます」

理性「それワイの台詞やで」

 

さて、そんな入間人間の短編集。

 

男は出てこないので。

 

今日も日本は平和です。

安達としまむら」のタイトルは知っていたのでいつか読んでみたいと思っていたのですが、レビューも兼ねてひとまずこれを、と読んだ次第です。

 

最初に言っておくと、後半でニヤニヤが止まらないです。

 

ラノベ貴公「う~む、程よ……グハァッ(鼻血)」

理性「(喀血)」

 

全体を通して感想。

 

なるほど、これはあらすじの言葉を借りるのが相応しい。

 

「こういうのが初恋なんだなって、思いましたっ」

 

そういう、少女の青春っぽさが描写に滲む。

「ああ、初恋してるなぁニヤニヤ」と思いながら、どこか非日常的な日常が繰り広げられます。端的に言うなら、思春期。甘酸っぱくもどかしく、物語に引き込まれるとドキドキしてくる。

 

普通に、純粋に、捻くれて、少女たちは葛藤する。

 

"憧れ"があるから失望されたくないし、

 

"友情"を信じるから疑問を抱くし、

 

"想い"を伝えられない。

 

「……好きになる相手って、選べるんですか?」

 

不意を突かれる。その台詞があまりに作品の本質を捉えていたから。

きっと彼女たちは正しくないのだと、登場人物が指示してくる。物語に引き込まれた自分を指摘するようにも感じられた。

 

そして、不意に、物語が動き出す。伏線ではなく直感だ。あるいはそれも思春期だろう。シンプルな回答に行動に虚を突かれる。ほんとうにこの作品は読んでてハラハラするな!

 

どこまでも自分勝手な女の子たちの話でした。

 

主人公だけでなく短編中に出てくる周りの女の子にも気をひかれますね。「えっ、あっ、今の台詞って……え?」みたいな。

う~む、もどかしい。対称作というかスピンオフ的なものも読みたい。(後半で大満足でしたが)

 

 

 

読み終えて、記事を書いて、不意に笑う。これはなんともまあ、正しいタイトルだ。

 

少女妄想中。

 

少女妄想中。 (メディアワークス文庫)

少女妄想中。 (メディアワークス文庫)