【感想】小説_魔法少女育成計画1「最近流行りの魔法少女死んじゃう系ですね……」
大人気ソーシャルゲーム『魔法少女育成計画』は、数万人に一人の割合で本物の魔法少女を作り出す奇跡のゲームだった。幸運にも魔法の力を得て、充実した日々を送る少女たち。しかしある日、運営から「増えすぎた魔法少女を半分に減らす」という一方的な通告が届き、16人の魔法少女による苛烈で無慈悲なサバイバルレースが幕を開けた…。第2回『このライトノベルがすごい!』大賞・栗山千明賞受賞作家の遠藤浅蜊が贈る、マジカルサスペンスバトル。
理性「おまえのグリーフシードを見せてみろぉぉぉぉ!!」
いや別に魔法少女が死ぬの流行ってはいないと思うんですけど……。全部虚淵が悪いさすが忍者汚い。文庫の感想です。
魔法少女たちが死んで殺して虐殺して復讐して、息継ぎのないサスペンス。
アニメと違って小説版はスノーホワイトとリップルに焦点が絞られてるので読みやすかったです。
単なるサスペンスではなくて、小雪と華乃が魔法少女として成長するストーリーでもあった。ゆえに魔法少女育成計画といえば皮肉かもしれませんが。
しかし魔法少女の成長ストーリーだったら魔法少女殺す必要ないと思うんですけどね……プリキュアご存じない? 著者が虚淵症候群なのは確定的に明らか。
とはいえ、小雪の魔法少女像を一度粉々にすることで"魔法少女とは"という提示を真面目に考えさせられた。読みながら、頭の中で再生されるのはアニメCMの小雪の台詞。
「それでも私は、夢みてる」
小雪らしい台詞だったからこそ、「夢をみる」から「選択する」決意をした小雪の変化が伺えた。それを成長と呼ぶのは複雑なところ。
対比して華乃はマジカルキャンディー集めを通じて魔法少女の在り方、小雪への憧れやトップスピードとの交友からポジティブとは言わずとも丸くなってくれたかな?(救い)
これで華乃が死んでたらどういうテンションで次巻読めばいいのか分からなかったですね……
スノーホワイトはリップル、リップルはスノーホワイトに理想の魔法少女を重ねる。夢に焦がれ現実を選択して、真逆の二人が魔法少女を通して邂逅し、交錯する。
一冊に「鏡写しの二人の成長」を詰めたインパクトのある作品でした。