【感想】通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?「お母さんがヒロインという安心感」
ラノベ貴公「面白いかと問われると面白い」
「マー君。これからお母さんと一緒にたくさん冒険しましょうね」夢にまでみたゲーム世界に転送された高校生、大好真人だが、なぜか真人を溺愛する母親の真々子も付いてきて!? 母親同伴の新感覚冒険コメディ開幕!
第29回ファンタジア大賞“大賞”受賞の新感覚母親同伴冒険コメディ!
昨今のファンタジア大賞と言えば主人公が魅力的な王道バトルファンタジーラブコメというのが常で、なろうチックというかなんというか。金賞銀賞辺りにコメディ枠を用意してるといった印象ですが、変化球なタイトルが新人賞になったものです。
ちなみに29回金賞の方も全体的にシリアスそうな雰囲気の作品(未読)で、ファンタジアも個性を残しつつ新規開拓をしていきたい意思が伺えますね!
端的に言えばテンプレらしからぬ、といったところ。
さて、
全体攻撃が通常攻撃で精神攻撃のお母さんは好きですか?
ん、微妙に違うな?
通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?
だから長文タイトルはやめろとあれほど……最近のラノベらしいタイトルですねっ!
ライトノベルを実際試し読んで買う人ってどれくらいいるんでしょう? 大賞作品なんかはHPでも試し読みが分かりやすく公開されているので、ラノベ貴公は読む派ですが、そもそも何を試し読むかは「タイトル・イラスト・あらすじ」を読んで決める。
まあよくありがちなのでは? マーケティングの話はさておきますが、ということで、ことライトノベルでは「タイトル・イラスト・あらすじ」この三点が占めるところは大きい。
その点本作は結構印象に残ってますね。
飯田ぽち。さんのイラストとカバーデザイン、タイトルが簡潔で美しい
非常に高いクオリティを感じます。
写真を上げるのも手間なので割愛しますが、口絵のキャラクター一覧もシンプルでハイセンス。デザインの草野剛を調べてみると納得ですね。
そういえばデザインの素晴らしいコミックは「BLEACH」が至高と友人が語っていたような気もしますが、さておき。
読書。
ラノベ貴公「ペラッ、ペラッ(頁を捲る音)」
ラノベ貴公「ペラッ……ペラ……ペラ……(頁を捲る音)」
ラノベ貴公「うんまあこうなる」
理性「テンション下がり杉ワロタ」
狙った感じのないコメディで程よく面白い。「母親同伴なVRMMO」の奇抜設定とは裏腹に展開は無理のないもので手堅いとは言わないまでもしっかりしたもの。
一方で「親子の題材と言えばこんな感じかな?」というのが見事に当たってしまい丸く収まりすぎているような気もする。だいたい中盤に差し掛かるとオチが予想できてくる。
すっげぇ面白いかと問われるとそうでもなく、じゃあつまらないのかと問われると断じてそんなことはない。まあ正確に言うなら、
起承転結とニュートラルなテンションで読了したっていう……
調べてみると、 ファンタジア大賞審査のコメントにある通りって感じです。中高生向けかと言われると怪しいところ。
まあストーリーの出来はともかく、メッセージ性が高いというか、自然と著者の伝えたかったそれを確かに受け取った。
親近感という点では痛いところですね! かくいう主人公と母親(cv:茅野愛衣)の関係には思い当たるところがありまして、ぜひ中高生に読んでほしいと人生の若輩者ながらしみじみ思うところです!
さて個人的には冒頭で述べた通り、ラブがありえないコメディというのが本作の魅力なところで、まあ古今東西様々なヒロインあれどさすがに母親はねーよ! ということですね。
しかし蓋を開けてみればお母さんが見事にヒロインとして昇華されていて、日本ってなんでも萌えキャラにしちまうんだな……(褒め言葉)
ジャパニーズサブカルチャーは世界一ぃぃ! というかここまで来ると何が何でも美少女にしなくてはいけないような業を感じるんじゃが……。
全編通してコメディしてる、けどちょっといい話、これぞラノベの本懐である。
やりたいことをやってしまったので、やはり二巻以降で虎か狐か分かれる作品ではないでしょうか。
通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか? (ファンタジア文庫)
- 作者: 井中だちま,飯田ぽち。
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2017/01/20
- メディア: 文庫
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