ラノベ寄稿

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【感想】ようこそ実力至上主義の教室へ 3「そしてステージは実力至上主義へ」

ようこそ実力至上主義の教室へ (3) (MF文庫J)

 

 

ラノベ貴公面白い

 

季節は夏。期末テストを乗り越え夏休みを迎えた清隆たちに高度育成高等学校が用意していたのは、豪華客船による2週間のクルージングの旅だった。喜ぶ面々だったが、完全実力主義の学校が単なる旅行を計画するわけもなく、船は無人島に到着。そこで本年度最初の特別試験――無人島でのサバイバルが通達される。生活物資は試験用に与えられたポイントで購入可能。だが試験終了まで保持したポイントは2学期からの学校生活にプラスされるという。上位クラスとの差を埋めるため、最底辺のDクラスはポイントの不使用を画策、サバイバルな生活に乗り出そうとするが、特別試験は甘いものではなく――!? 大人気クリエイターコンビが贈る、新たな学園黙示録第3弾!?

 

*ネタバレ有

 

 

ここからが盛り上がりどころと評判の三巻です。

 

夏休みの豪華客船クルージング。その正体は特別試験という名目の無人島サバイバルだった──

 

二巻では一之瀬がこれを予感させる発言をしていましたが、見事当たっていましたね。

というか高度育成高等学校なら普通に予想できそうなものですが、さすがにサバイバルとは今までの試験のような学生生活の指標と一線を画してますからね。

 

さて、特別試験の中で付け加えられたルールは主に三つ。

 

・試験開始時に各クラスにポイント300ポイントが配布される。試験中に食料や簡易トイレなどの必需品から娯楽アイテムまでパンフレットに書かれたものはポイントで購入することができる。

 

・試験終了時、各クラスの代表者を報告し、それを当てた場合追加で50ポイントを獲得できる。尚当てられたクラスは50ポイント減点とする。代表者は試験に必要なキーカードを持つこととする。

 

・試験終了時、追加ポイント込みで残ったポイントはすべては「クラスポイント」に加算されるものとする。

 

 何やら面倒なルールだな? と構えてしまうけれど、読み進めるうちに理解できてくる。代表者を報告してクラスを蹴落としあうルールは「LIAR GAME」に近いものがある。

 

さて、全体的な感想としては序盤から終盤まで伏線の張り合いという感じ。主人公とヒロインの親密度を(雑に)稼いではいるものの、基本この特別試験を軸にA~Dまでのクラスの思惑が暗躍する、頭脳戦がメインとなる。なるほど実力主義と言うだけあると思う。

 

Cクラスが仕掛けてきている、というのは明確なのだけれど、A・Bクラスはもちろん、ルールの方にも伏線のようなものやミスリードが散りばめられていて飽きさせない展開でした。これは面白いな!

綾小路の本音も語られたところで終盤以降グッと引き込まれていく。俺たちはこいつを待っていたんだぜ……ラスト十数ページの怒涛の巻き返しで二ヤつきが止まらんかった。

 

ラノベ貴公「よう実くっそ面白いな!」

理性「二巻までの酷評は焼き土下座決定な」

 

はい。 

 

他方悪かった点を一つ。

特別試験に力を入れているというよりたぶん著者の文章力なんだろうが、とにかくモブの言動が記号的。正直Dクラスが情緒不安定すぎる……女子が男子を嫌いすぎる事案。そりゃ平田さんも嫌んなりますよ。物語を進めるには分かりやすいけれど、ちょっと安っぽく感じたな。

 

ところで堀北さんはいよいよ何がしたいのか分からなくなってきたな……ポンコツっていうか滑稽の域に達しつつあるけれど、彼女も今回で何か変化があったご様子。まあワトソンあってのホームズといいますか、道化役は嫌いじゃないんですけど、彼女が進化してくれるのも楽しみではありますね。

 

変化と言えば茶柱や平田は何やら爆弾を抱えているのが露わになってきました。そして爆弾と言えば何より主人公……彼彼女等がどんな歪なものか、これからに期待。

 

ここからは実力主義の世界だと強く確信させる三巻でした。うむ、文句なく面白かった。待て四巻。